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本編

第五章 日付

日付は、失われるとすぐ困るものではない。少なくとも最初はそうだった。水が切れれば困る。食料が減れば困る。火が使えなければ困る。雨が入れば困る。眠れなければ困る。日付はそのどれにも直接は触れない。今日が何月何日であるかを知らなくても、水は煮沸...
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第四章 棚

物を集めることと、物を並べることは違う。集めるだけなら、本能に近い。必要だから持ってくる。足りなくなる前に拾う。見つけたときに確保する。そういう動きだけなら、獣にも似ている。口に入るもの、傷を防ぐもの、寒さをしのぐもの、火になるものを、危険...
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第三章 電気

夜を夜として受け入れるようになってから、電気は光ではなく順番になった。最初の頃は、明るさが欲しかった。暗い場所で何かを見落とすこと、足をぶつけること、物の位置を確かめられないこと、そのどれもが不安を増やした。だから照明を点けた。点けられるだ...
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第二章 水

水は足りているうちは、考えなくていいものだった。正確には、考えていたのだろうが、考えるという行為のうちに含まれていなかった。蛇口をひねれば出る。湯を使えばあとで冷たい水が恋しくなる。冷たい水を飲めば、次に湯が欲しくなる。風呂に入る。皿を洗う...
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第一章 拠点

朝いちばんに確認するのは空ではなく、水だった。 屋上から垂らしてある集水パイプの継ぎ目は、夜のあいだにまた少しずれていた。脚立を出すほどではない。ポリバケツをひとつ下に置いて、落ちる滴を受けさせる。雨は夜明け前に少しだけ降ったらしい。コンク...