廃れた大型店舗跡の外観
RECORD FRAGMENT

記録断片五 立ち位置メモ

スーパー跡

レジ台 残存

内側 入れる

外側 客用通路

境界 低い

内側に入ると違和感あり

理由 不明ではない

以前は入らない場所

レジ袋 少量

釣銭トレー 空

バーコードリーダー 反応なし

店員用メモ帳 残置

持ち帰らない


診療所跡

受付カウンター

待合椅子 6

診察券入れ 残存

番号札機 電源なし

受付側 入れる

呼ばれることはない

呼ぶ者もいない

白衣 1

名札なし

胸に留め跡

白衣だけでは、何も始まらない


交番

机 1

椅子 2

壁地図 破れ

拾得物用紙 湿気

交通安全ポスター 色褪せ

机の向こう側

座ると落ち着かない

届け出るものなし

受け取る者なし

巡回なし

相談なし

赤い丸をつけても、誰も来ない


学校

職員室

机の列

名札差し 空

時間割跡

印鑑ケース

出席簿 背表紙のみ

教室

机 小

椅子 小

黒板 白い粉

掲示物 剥がれ

教壇に立つ

すぐ降りる

前に立っても、先生にはならない

座っても、生徒には戻れない


管理人室

窓口

鍵棚

空欄あり

古い入居者名簿

内線表

故障メモ

鍵は残っている

開ける相手がない

呼ぶ部屋がない

管理する建物は残っている

管理される生活はない


共通

内側

外側

向こう側

こちら側

待つ場所

呼ばれる場所

立ってはいけなかった場所

座るべきだった場所

線は残っている

役割はない


メモ

場所は、まだ人の形を覚えている。

だが、そこに入っても、その人にはならない。

役割が抜けると、

立ち位置だけが残る。

どこに立てばよいかは、まだ少しわかる。

何として立てばよいかは、もうわからない。